甘い極道性活 / 杉本サキ

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 古い家だが、部屋の数と広さだけはあまりある自宅に感謝したのは、かくれんぼの時以来かもしれない。普段使っていない離れの一室で、月明かりの下、二人は事に及んだ。

 パジャマ代わりの浴衣は、少し帯を引くだけでするするとほどけ落ちる。鎖骨のあたりから手を差し入れ、なめらかな肌に触れれば、まだなんの柄も入っていない十四松の肩と胸があらわになった。

「きれいな肌じゃの」

「これから墨入れてもっとかっこようなるけど、やっぱり最初に触られるのは、一松兄さんが良かったんじゃ」

 えへへ、と笑うその全てが愛おしい。一途で、純粋に好意を寄せてくれる姿は、あまりにも健気で可愛すぎる。

「はあ、たまらん」

 これが本当に同じ血を分けた弟だというのか。確かに同じ顔のはずなのに、仕草や表情のひとつひとつが、間違いなく一松の恋い焦がれた十四松のものだった。

 我慢なんて出来るわけがない。据え膳食わねば、とは言うけれど、一松にとってこれ以上の御馳走はどこにもない。さほど多くないとはいえ、系列の店で受けたサービスなど、比較対象にもならなかった。

 唇を合わせ、一松は十四松の息を奪うようにして貪る。

「ん、んぅ、……ふ、」

 今思えば、性欲だけは一人前だったが、まだ十代の身体は完全に出来上がってはいなかった。思いつく限りの入念な準備と丁寧な前戯を施したが、成長過程にある幼い身体に無理をさせた。なんせ男女のセックスとは違うのだ。

「十四松、ほんまにええんか」

「うん。ぼく、一松兄さんが欲しい」

 そんな言葉を信じて踏み入れた身体は、狭くて小さくて、それでも一松を必死に受け入れてくれていた。

「……痛いか?」

「んーん、嬉しいんじゃ」

 涙を浮かべながらも首を振る十四松の髪を優しく撫でてやる。辛くないわけがないだろうに。それでも十四松は嬉しい、ぼくを兄さんのモノにしてくれてありがとう、と健気に一松に伝えてくる。

 結合を果たしたというだけでも満たされて、十四松がその状態に慣れるまで、しばらくはただ抱き合っていた。キスを繰り返して、目尻に浮かんでいる涙を舐めとって、一松も精一杯気遣いを見せる。

 しかし、ギリギリの理性で我慢していたとはいえ、十四松の尻の穴がやがて一松の肉棒をきゅうきゅうと締め付けて刺激し始めると、一松もついゆるゆると腰を前後させてしまう。

「一松兄さん。もっとうごいて、ええんよ?」

「阿呆。どがあなっても知らんぞ」

「アッ! ぁ、あ、あっ」

 ビクビクと震える身体に、一松は容赦なく熱を穿ち込む。

「にい、さ、……ぁん、あぅ、あああ!」

 濡れた結合部が、にゅぽっ、ちゅぷ、と卑猥な音を立てる。初めての身体は何もかもぎこちなくて、けれど戸惑いながらも受け止めてくれた。排泄孔は可哀想なほど本来の役割とは違うことを求められ、切なげに応える。

 きゅう、きゅん、と肉棒に絡みつき、ゴム越しの射精を求めた。

「ああ、おまえは、おれのモンじゃ」

 ひどくしてすまんの、という言葉とは裏腹に、一松が十四松の身体の中を抉る動きはつい激しさを増した。パンッ、パンッ、と大きく肌を打ち、あますところなく十四松の身体を追いつめていく。

「アッ、ふぁ、あっ、ぁあっ!」

(まだ女も知らんのに)

 知る必要はないと阻害したのは一松に他ならないが、こうして男を教えてしまった以上、この先一松が十四松にそれを許すことはないだろう。

 だから暗示のように繰り返す。十四松は、一松のものだと。この体を、他の誰にも許してはならないと。

「ええ、よぉっ……。あッ、ぼく、は、……一松にーさんの、じゃけぇ……っ」

 だってぼくが頼んだんじゃ。そうして欲しいって。

 それは事実ではあったけれども、一松の執着や想いの深さを知らない十四松がそう認識しているなら、それでいい。

 逆は決してありえない。一松が四男で、十四松が五男である限り。序列がもっとも大事で、逆らうことは許されない。一松とて、父や兄の言うことは絶対だから、従順に振る舞っている。十四松のことも許しを請い、対価を払って、手順を踏むように願い出るしかないのだ。

「ん。いい子じゃ」

 忘れなさんな、とまるで小さな子供に言い聞かせるように言って、一松は十四松に口づけた。そして「しっかり掴まっときんさい」と両腕を背に回させ、そのまま一松は十四松の全てを貪るように抱き続けた。

 

 

 あの日から、何年経っただろう。

 正式に組へと入り、二人の身体には懇意にしている職人の手によって見事な絵柄が刻まれた。

 それからの毎日は、ろくでもないことばかりだったように思う。酒を浴び、金を巻き上げ、抗争のたびに暴力をふるってはあたかも真実のように嘘をついた。弱者を助けるふりをしながら、より深い闇へたたき落とすこともした。

 成果をあげて認めてもらい、より高い地位を得るためだ。他の兄弟も似たようなものだったが、一松にはどうしても欲しいものがあったから。目的のために、手段は選ばなかった。

 そんな中、十四松だけは変わらなかった。

 昔憧れていた綺麗なばかりの物語のように、カタギの子供と付き合って、時に助けることもある。舎弟をかばって怪我を負うこともあったし、その度に一松は心配で胸が潰れそうになりながら、十四松を傷つけた相手に何倍もの報復をしたし、無事を確認した時は強く抱きしめた。

 おれはおまえが大事なんじゃ、何度言えばわかる、と訴えれば、ぼくもじゃ、と応えてくれた。機会さえあればセックスもしたし、十四松の身体は初めての頃と変わらず女を知らないまま、一松だけを受け入れてくれている。

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