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甘い極道性活04

 杉本サキ

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(今でも十分、満足できる状況のはずなんじゃが)

 贅沢な悩みかもしれない。しかしそれでも、安心は出来ない。十四松は自らの意思で一松のものになってくれたけれど、その身柄は松能組のものだ。いざという時、その手綱を握るのは一松ではなく、組長である父か若頭の兄である。

 一松が十四松を一時的に任されはしても、所有は認められていない。

(それが今回のヤマが終わったら、正式に貰い受けられる)

 そう思って振り返れば、一松が昔を思い出しながら上の空で仕事をしている間に、十四松は黒い革張りのソファでうたた寝をしていたようだった。

(やれやれ、なにが見張りじゃ)

 そんな退屈な仕事、十四松には不向きだということくらい、若頭もわかっているだろうに。普段は見事なくらい適材適所な采配を振るうヤツのことだから、裏があるに違いないことはわかっていた。

 大方、これも忙しい一松へ届けられたご褒美の一部なのだ。

 十四松はわかっていないようだったが、おそ松が「馬にニンジンをやる」と言ったのは、一松に対しての言葉だろう。

 忙しくて、最近あまり十四松とは過ごせていなかった。セックスだってご無沙汰だ。飢えた獣だと知りながらわざわざ寄越したのだから、今日は手を出してもいいということだ。

 ドアの前にいる舎弟に今日はもういいから帰れと指示を出し、念のために内鍵をかけておく。

 一度はゴールが見えたことで仕事へのやる気を出したものの、自らの飢えに気づきながらそれをコントロール出来るはずもなく、一松は我慢することなく餌にしゃぶりついた。

 無防備に眠る十四松の上へとのしかかり、ボタンをはずして着崩したシャツの下へと手を滑り込ませる。首筋には跡が残らないように気をつけながらキスを落とした。

 所有の証は、まだ残せない。

「ん……? ぅ、ん、」

 夢うつつ。わずかな反応はするものの、覚醒はしない十四松の身体を一松はまさぐっていく。久しぶりに触れる体温に、愛おしさが止まらない。股間をまさぐれば簡単に反応するのも、昔から変わらないと懐かしく思った。

 のんびりしている余裕をなくし、まどろっこしいと十四松の下半身を全て外気に晒させる。繋がるための準備には相当時間がかかるだろうと、一松が後孔を確認していると、中途半端に脱がせたシャツ一枚という姿になってようやく、十四松は目を覚ました。

「……え、一松にいさ、ん?」

「ん。寝とってもええが、起きたならサービスしてもらうかの」

「えっ、え、何、しとるん、?」

 下半身を包む衣服が全て取り払われていることに驚いていると、一松は自身のベルトのバックルをはずし、下ろしたチャックの奥から取り出したモノを十四松に咥えさせる。突然の行為に驚いた様子だったが、瞬時に察した十四松は大人しく従い、口を開けた。

「ン、ンンっ……ぐ、ぅッ!」

「静かにな。表には、ちゃんと仕事しとる見張りがおるけぇ」

 居眠りした見張りにはおしおきじゃ、と喉奥を突き、一松は十四松を追いつめていく。やわらかなベッドの上で大切に、優しく抱いてやるセックスもいいが、事務所のソファで本能のままに繋がるのもたまにはいいだろう。見張りの舎弟はすでに帰してあるのだが、少し意地悪してやりたい気分だった。

 尻の中に出すと後始末が大変だが、口内ならば飲ませて簡単に腹の中まで落とすことが出来る。後頭部を押さえて逃げ道を閉ざし、一松は何度も十四松のやわらかい口内で前後に動いて、自身を高めていった。

「はッ、んんん、ぅうっ」

 やがて息苦しさに涙を浮かべる十四松の顔を見ながら欲望を吐き出し、ズルリと引き抜くと、咳込んでいる十四松の片足を大きく上げさせ、狭間に全く衰えていないそれを押し当てた。

「えっ、ま、待って、待って!」

 いくらなんでもそんな急に、という意図はわかったが、一松は聞く耳を持たない。なぜなら、

「なんでじゃ。待つ必要なんてないじゃろ。おれにはちいともわからんが、何故だかおまえの尻の中はずいぶん柔らかく解れとるし、濡れとる気もするけぇのぉ?」

 逆になんでこんな準備されとるのか聞いてやりたいくらいじゃ、といやらしく口角を上げた。ついさっき確認した時にわかって驚いたことだが、十四松は無断でそれを一松に知られた予想外の羞恥で、言葉にならないようだった。

「ほれ、言うてみぃ」

「アッ!」

 嘘ではないと証拠をつきつけるように、一松は二本の指で十四松の孔を探る。色づいた窄まりはすんなりとそれを迎え入れ、動かされる度にちゅく、ちゅく、と水音を鳴らした。

 殺風景な事務所内に響く、艶めかしい粘着音を何度も聞かされる。ちゅぽ、ちゅぽ、と抜き差しされれば気持ちよくてたまらない。もっと太くて熱いモノが欲しいのだろうと煽られる。

「ん、ぁ、だって、ぇ」

 幼い子供が言い逃れをするように首を振ったが、一松は許さない。

「しばらくしとらんはずじゃのに、おかしいのぉ? いくら十四松が助平に育ったゆうても、こんなとこ勝手に濡れるはずないじゃろ」

 なんでこがぁなことになっとるんじゃ? と重ねて質問され、十四松はいよいよ観念したようだった。

「だって、一松兄さんの仕事が終わったら、一緒に帰って、久しぶりにできると思って……」

「ん? 何を」

 ハッキリ言わんかい、と勃起させている急所を握ると、十四松はビクン! と身体を跳ねさせて、たまらず告白した。

「うぅ……、ぼく、一松兄さんとセックスしたかったんじゃあ。じゃけぇ、兄さんの仕事が終わったらすぐ出来るようにって、自分でいらって準備してきたんよ」

 ごめんなさい。

 素直に謝る十四松に、一松が怒るはずもない。居眠りしたところで、見張りなんてものは本来十四松の役割ではないし、そんなものは誰も期待していない。

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